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遮水シート品質検査

遮水材料接合部の検査基準と方法

検査基準

接合部検査の基準
各遮水材料の接合部検査の項目、方法別の基準の例は下記の表の通りです。水密性検査方法は、遮水シートの種類と施工部位、接合方法に応じて方法を選択しなければなりません。

検査項目 検査方法 基準(例) 摘要
遮水シ |
重ね幅 測長器による測定 設計仕様数値に適合すること
接合幅 測長器による測定 設計仕様数値に適合すること
外観 目視検査 浮き、剥がれ等がないこと
水密性 素材・施工部位・接合方法に応じて選択 検査棒挿入検査

検査棒先端の侵入、
接合部の剥離がないこと

検査棒の押当力は遮水シートに変形が生じない程度とする。
加圧検査 漏気の無いことおよび圧力低下率が20%以下であること。 圧力:低弾性タイプ 0.05MPa
中断性タイプ 0.1MPa
高弾性タイプ0.15MPa
保持時間:30秒
負圧検査
(容器方式)
気泡が発生しないこと。 ゲージ圧:-6.7kPa(50mmHg)程度
観察時間:10秒
負圧検査
(テープ方式)
圧力変動が9.3kPa(70mmHg)以内であること。 ゲージ圧:-67kPa(500mmHg)
保持時間:10秒
電気的検査 スパークが発生しないこと。 電圧:15,000V以上
接合部
強度
接合部せん断試験 基準数値に適合すること。 試験片幅:アスファルト系以外25mm
アスファルト系50mm
試験速度:50mm/min
保護マット 重ね幅 測長器による測定 10cmを目安とする。 設計図、許可申請図書
などにより、確認すること。
外観 目視検査 破れやほつれ、極端なシワのないこと。
接合状態 目視検査 風にとばされない程度


接合部強度の基準
遮水シートの現場接合部強度の基準例は下記のとおりです。
項目 種類 基準(例)N/cm
接合部せん断強度 EPDM 60以上
TPO(PE系・PP系) 80以上
軟質PVC 60以上
超軟質PVC 60以上
HDPE 160以上
LDPE 80以上
VLDPE 80以上
TPU 80以上
アスファルト系 65以上
<アスファルト系:3mm、その他厚さ1.5mm>
遮水シート現場接合部の検査方法

検査方法の選択
処分場で使用される遮水シートの比較的広く行われている検査方法についての説明です。これら以外の方法を使用する際には検証した上で、採用することができます。
検査方法の選択に当たっては、遮水シートの種類ごとに適性、条件が異なるので、特殊な装置、副資材を必要とする場合もあります。また、検査工数を含めて、事前に十分な検討が必要です。

項目 検査方法 種類
EPDM PVC TPO
(PW・PP)
PE TPU アスファルト系
シート
吹付
アスファルト
ベントナイト
重ね幅 測長器
接合幅 測長器
外観 目視検査
水密性 検査棒挿入検査 - -
加圧検査 - - - -
容器方式負圧検査 - -
テープ式負圧検査 - -
電気的検査 ○※ -
接合部強度 - -

※要事前確認 ○:適用可能 ×:適用外

重ね幅、接合幅
遮水シートおよび保護マットの重ね幅はその展張時に測長器(メジャー)を使用して、重ね幅を管理します。接合方法により重ね幅と接合幅が同一の遮水シートもあるが、機械融着の場合の接合幅は機械のローラー幅、ローラー間隔などによって左右され、下記の図が示すように重ね幅と接合幅が異なる場合もあります。したがって、機械の変更、条件の変更があった場合にはその都度測定します。

検査においては、敷設した遮水シートの端部、または、接合部強度試験用サンプルの切断面の測定によって、重ね幅、接合幅を測定します。

遮水シート、保護マット接合部の重ね幅、接合幅

※重ね幅と接合幅は異なる場合もある。

外観

現場接合部の目視検査は、接合部に土砂など異物の混入がないことおよび接合不良による接合部のめくれあがりや接合付近の傷の有無を確認します。特に融着機械は高熱のため不要な箇所へ熱を作用させると損傷の基になるので注意する必要があります。


水密性
水密性は勿論最重要性能であるため、その確認は非常に注意を払って行わねばなりません。確認方法は下記の通りです。

加圧検査(例)

  1. 適用範囲
    本試験方法は2列融着で施工され、検査溝部を有する遮水シートの現場接合部の合否の確認に適用する。
  2. 試験用器具
    圧縮空気供給装置:2列融着接合の検査溝に挿入できるノズル、バルブ、圧力計を有するもの。

    締め具:遮水シート接合部の検査溝端部を密閉できる締め具、またはこれに準ずるもの。

    加圧検査の例


  3. 試験方法
    • 締め具を用いて、検査溝端部を密閉する。
    • 圧縮空気供給装置のノズルを2列融着接合の検査溝に挿入する。
    • 圧縮空気を減圧弁により調整しながら供給する。圧力は、低弾性タイプ0.05MPa、中断性タイプ0.1MPa、高弾性タイプ0.15MPaとし、遮水シートの素材毎に選択する。
    • 基準圧力に達したら、バルブを閉めて30秒間保持する。加圧時に遮水シートの伸びにより圧力の低下があった場合は、保持時間を延長し、圧力低下が収まったことを確認してから、バルブを閉めて保持する。
  4. 判定
    漏気の無いことおよび所定圧力からの低下率20%以内を合格とする。

容器方式負圧検査(例)

  1. 適用範囲
    本試験方法は遮水シートの3枚重ね接合部および手動融着機で接合された部分の合否の確認に適用する。
  2. 試験用器具
    検査治具:透明窓に設けた真空容器で、遮水シートとの接触部は漏触部は漏気がないもの。圧力計を有すること。

    排気装置:一般的に真空ポンプを用いるが、簡易的に掃除機などの吸引装置を用いても良い。

    容器方式負圧検査の例


  3. 試験方法
    • 検査箇所に石鹸水を塗布する。
    • 検査箇所に検査治具をセットする。
    • 真空ポンプで検査治具内の空気を抜く。
    • ゲージ圧-6.7kPa程度に減圧しながら、10秒間気泡の有無を観察する。
  4. 判定
    漏気による気泡発生が無いことを合格とする。

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